大腸ポリープ切除
大腸カメラ検査の際にポリープが見つかればその場で取り除くことができます。検査の際に一緒に切除が可能なため、お忙しい方にも利便性が高いと言えます。ポリープはスコープ先端に取り付けたワイヤー状のスネアを引っかけて締めることで取り除きます。具体的な切除方法はポリープの形状によって異なります。また、ポリープの形状、サイズ、数によっては一泊程度の入院をお願いすることもあります。患者様が早急に最適な医療を受けられるよう誠心誠意努めて参りますので、是非一度ご相談ください。
大腸ポリープのがん化リスク
大腸がんのほとんどは進行した大腸ポリープが原因となります。大腸ポリープ自体は良性ですが、治療せずにいると巨大化する恐れがあります。例えば、直径5mmの大腸ポリープは5%強、20mmのものは50%以上ががん化するというデータもあります。そのため、がん化リスクを防ぐ意味でも早めに切除することをお勧めします。自覚症状が乏しい大腸ポリープを切除するためには大腸カメラ検査が不可欠ですので、定期的に受診するようにしましょう。
大腸ポリープができやすい原因とは
遺伝
遺伝的に大腸ポリープや大腸がんを発症しやすい方がいらっしゃいます。大腸ポリープや大腸がんは自覚症状が乏しいため、ご家族に大腸ポリープや大腸がんの罹患歴がある方がいれば、こまめに大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。また、リンチ症候群や家族性大腸筋腫症といった疾患の早期発見のためにも大腸カメラ検査は有効です。
食生活
食生活が大腸がんの発症に関係していると言われています。特に、赤身肉、加工肉、高カロリー食の過剰摂取には注意が必要です。一方で、食物繊維が豊富な野菜を積極的に摂取することで、大腸がんの発症リスクの低減に繋がります。
切除方法
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
スコープの先端に取り付けた注射針で切除します。具体的には、スネアで締め付けることができない平べったいポリープに注射針から生理食塩水を注入し、浮き上がらせてからスネアを引っかけて高周波電流を流して焼き切ります。この方法は粘膜下層への熱伝導が起こらないという特徴があります。
内視鏡的ポリペクトミー
スコープ先端に取り付けたワイヤー状のスネアを引っかけて締め上げることで取り除く方法です。特に、5〜10mmサイズのポリープの切除に用いられます。ポリペクトミーの中でも、高周波電流を流すタイプ(ポリペクトミー)と流さないタイプ(コールドポリペクトミー)の2種類があります。ポリペクトミーは、電気メスと同様に切除時の出血リスクが少ないというメリットがある一方で、粘膜下層へ熱が伝導することでしばらくしてから穿孔や出血が起こるリスクも持ち合わせています。 コールドポリペクトミーは、こういった合併症の心配がありません。また、心臓ペースメーカーを使っている方や抗血栓薬を服用している方にも適応があります。さらに、4mm以下のサイズのものにはスコープの先端の鉗子で取り除くことが可能です。いずれのやり方でも、出血が起こっていないか注意深くチェックし、適切な止血処置を施します。
ESD
ESDとは、発症間もないがんに有効な最新の治療法です。発症間もないがんは、これまでの内視鏡治療では対応できずに開腹手術を要していました。しかし、ESDによって内視鏡下での切除が実現され、開腹手術をせずに入院期間も短縮化されるというメリットがもたらされています。また、ESDにより病変部位が大きくてもブロック単位で切除が可能となり、生検の精度が向上しております。早期食道がん、早期胃がん、大腸腺腫・早期大腸がんはESDの保険診療の対象となったので、是非一度ご相談ください。
大腸ポリープは必ず切除する必要がある?
大腸ポリープはほとんどが良性であり、腫瘍性・非腫瘍性に分類されます。その中で、将来的にがん化するリスクがあるものを腺腫・腫瘍性ポリープと呼びます。当院の大腸カメラ検査では、狭帯域光(NBI)という特殊光によって周囲の毛細血管や大腸の表面構造を強調表示することで、精緻に観察することができます。そして、がん化リスクがあるポリープはその場で切除が可能です。腺腫性ポリープを切除すると、大腸がんの発症率が5~7割低下すると言われており、特に過去に大腸ポリープの切除経験がある方は改めて検査を受診してみると良いでしょう。
大腸ポリープ切除後の食事・注意点とは?
大腸カメラ検査前の注意
大腸ポリープの有無を判断するためには大腸カメラ検査の受診が不可欠です。大腸カメラ検査を受ける際には、ポリープの切除もする心づもりでお願いできればと思います。抗凝固薬や抗血小板薬を服用中の方は、検査の4〜7日前から服用をストップしてください。また、前もって服用中のお薬を医師に共有お願いします。
大腸ポリープ切除後の注意
ポリペクトミーでポリープを切除した方は、高周波電流の熱で潰瘍状態となっています。また、どんな切除方法で進めても、切除後は縫合や止血処置によって出血を防ぐことが必要となります。そのため、術後はお腹に強く力を入れるような動作や姿勢を控え、遅発性穿孔や出血を起こさないように注意しましょう。さらに、術後数日~1週間の間は食事、運動、入浴にも複数の注意事項がありますので、医師の指示に従って頂くようお願いいたします。
大腸ポリープ切除後の食事や生活
安静
切除翌日までは十分な休息をお取りください。
睡眠と休薬
抗凝固薬や抗血小板薬を服用中の方は前もって医師へお知らせください。お薬の服用再開や休薬について医師から説明させて頂きます。
食事
切除後1週間の間はうどんやおかゆなど消化しやすい食事内容とし、香辛料や脂っぽいものはお控えください。
アルコール
切除後1週間の間は飲酒をお控えください。また、炭酸飲料の刺激を避けるため、ノンアルコール飲料も飲まないようにしてください。
入浴
切除翌日から軽めのシャワー浴ができますが、1週間経つまでは入浴をお控えください。
運動
切除翌日から軽めのウォーキングはできますが、1週間経つまではその他の運動はお控えください。
腹圧がかかる動作
切除後1週間の間はお腹に強い力が入るような動作(強くいきむ、重いものを持ち上げるなど)はしないようにしてください。